鹿児島県中社研

鹿児島県の中学校社会科教員による自主団体のブログです。

   夜明けの桜島

県大会を振り返って(研究授業編)

 10月23日金曜日西指宿中学校にて中社研県大会が開かれ、北浩明先生が公開授業を提供して下さいました。1年生を対象に歴史的分野の「鎌倉時代における指宿の武士勢力と幕府の関係」を素材にした授業でした。最初素材を聞いた時は「なかなか難しいテーマにチャレンジしたものだ。でも、県社のテーマにはぴったり。うまくいくといいが!」という感想を抱きました。授業検討会でも研究委員の皆様の期待と懸念はそこに集中していたと思います。

 授業の出来はとても良かったと思います。誤解を恐れずに言わせてもらえば、「玄人好みの愉快な授業」だったと思います。最近流行の「方法ありき」「活動ありき」のものではなく内容吟味を十分に尽くしながら子どもの思考を大切にするそういうものでした。

 ポイントは3つあったと思います。まず1つめは導入部分。北先生は、自ら地域に足を運び動画で地域の史跡を紹介しました。生徒たちは動画を舐めるように見ていました。そして、身近な地域の表情が映し出されるごとに歓声をあげていました。数人は地元資料館の主催するイベントに参加した知識で授業者のねらいに見事に答えていました。あの場面ですでに生徒たちは授業を「自分たちのもの」としてとらえていたのではないでしょうか。2つめは「古文書を読む」場面。ここを主たる場面とするかについては研究委員会でも意見が分かれました。難解な古文書を読むという作業が一気に授業の停滞をもたらすのではないかという懸念からでした。しかし、その懸念は事前授業の段階から払拭されていたと聞いています。生徒たちは持てる知識と推測で「ああでもない、こうでもない」と級友と意見をぶつけあいながら解読していきました。「古文書は難しいと思っているのは、実は大人たち、特に教師たちの思い込みではないか!」指導助言の田宮先生の言葉に私は全面的に共感しました。3つめは、「幕府は土地争いにどのような裁定を下したか。」を話し合う場面でした。生徒たちは、可能な限り歴史的な背景も理解しながら現実的な解決策を模索していました。この部分については研究委員会では「公平・公正な判断を考える」というきわめて現代的な課題に応える場面となるのではないかという意見が出ましたが、まさにそういう場面になったと思います。

 授業検討会では、好意的な意見が相次ぎました。ただ、歴史学の専門的な立場からの意見も参考になりました。「鎌倉時代における山城の扱い」「鎌倉時代における領地と財のとらえかた」どちらも研究者ならではの問題提起だったと思います。

 「歴史学の立場・方法をふまえたうえで現代的課題に対応することのできる」そういう授業を見せてもらった気がしました。

 北先生は「反省しきり」と繰り返していましたが、見る方からすると実にすばらしいおもしろい授業でした。「鹿児島の先生たちはいい授業をする」あらためてそう思った県大会でした。